ロールモデルがいなくても大丈夫! これからのロールモデル観
以前は、ロールモデルというと「すべてにおいて完璧なお手本」というイメージが強かったかもしれません。たとえば、「あの先輩のようになりたい」と、その人の働き方や生き方をまるごと真似しようとするような考え方です。
ですが、価値観が多様化した現代ではロールモデルの概念も変わってきています。
今は、完璧な一人を探すのではなく「なりたい自分」を形成するために、複数の人から良いところを学ぼうという考え方が主流になっています。
ロールモデルの見つけ方は一人だけじゃない!理想像をつくる4つの方法
いいとこどりをする
「仕事の進め方」はAさんから学んで、「ワークライフバランス」はBさんを参考にするといったように、特定の誰かを丸ごと真似するのではなく複数の人の長所を参考にします。
身近な人に目を向ける
会社の上司や先輩、同僚など、身近な人をロールモデルにすることも一般的です。
直接話を聞けるので、その人の思考や行動の背景を深く理解できるというメリットがあります。
SNSやメディアを活用する
著名人やインフルエンサーなど、SNSやメディアで活躍している人をロールモデルにするケースも増えています。
必ずしも直接会う必要はなく、発信されている情報から刺激を受けて自分の目標設定に役立てます。
必ずしも成功者である必要はない
ロールモデルとなるのは必ずしも社会的な成功者である必要はありません。
子育てと仕事を両立している後輩や、趣味を大切にしながら働いている同僚など、自分が大切にしたい価値観を体現している人であれば誰でもロールモデルになり得ます。
ロールモデルは「一人のお手本」から、「自分を成長させるためのパーツ」へと変化していると言えるでしょう。
これからのロールモデルは自分でつくる
パーツとしての「ロールモデル」を組み合わせる
「あの人のようになりたい」と一人に絞るのではなく、「いいとこどり」を極める考え方です。
たとえば、仕事のスキルはAさん、リーダーシップはBさん、キャリアの築き方はCさん、というように、理想の自分を構成する「パーツ」ごとに異なる人をロールモデルにします。
これは現在も行われていますが、これからはさらに細分化されて、専門分野ごとに最適なロールモデルを見つけ出すことが可能になりそうです。
AIを活用した「パーソナライズされたロールモデル」
これからは、AIが個人のスキル・価値観・目標などを詳細に分析して、その人に合ったロールモデルを複数提示してくれるようになるかもしれません。
たとえば、「あなたは〇〇というスキルを伸ばしたいようですが、その分野で成功している人物はA、B、Cがいます。それぞれのキャリアパスは以下の通りです」といったように、データに基づいた最適な人物像を提案してくれます。
さらに、過去の偉人や歴史上の人物のデータから、「〇〇のような状況で、彼らはどのように乗り越えたか」といった具体的なアドバイスも得られるようになるでしょう。
なりたい自分を可視化する
単に理想に近い誰かを探すのではなく、「なりたい自分」を具体的にイメージして、可視化するツールの利用も効果的です。
今はビジョンボードがよく使われますが、今後は仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を使って、理想の働き方やライフスタイルをシミュレーションできるようになりそうです。
これは、他者を模倣するのではなく、自分の内面にあるなりたい姿を明確にするという、主体的で創造的なロールモデルの探し方と言えます。
バーチャル・メンターとしての「ロールモデル」
現実の人物だけでなく、AIが生成する「バーチャル・メンター」がロールモデルになる可能性も考えられます。
たとえば、世界中の成功者や専門家の知識を学習したAIが、ユーザーの悩みや目標に応じて最適なアドバイスを提供するなど。
このように、自分だけの「理想のメンター」を設定して学べるようになるのではないでしょうか。
まとめ
未来の「ロールモデル」は、「誰かになる」という受動的なものから、「自分だけの理想を創造し、それを実現するために最適なものを集める」という、より能動的でパーソナライズされたものに変わっていくでしょう。
誰か一人を探すのではなく、「自分はどんな人間になりたいのか」という問いかけからはじめて、その理想像を構成する要素を多角的に集めていく。
これが、これからの時代に求められる、「新しいロールモデルの探し方、設定の仕方」かもしれません。