私たちは日々、お金や時間の使い方、商品やサービスの選択など、さまざまな経済行動をしています。ですが、その意思決定は必ずしも「合理的」とは限りません。むしろ、感情や思い込みなど心理的な要素に左右されることのほうが多いのです。
行動経済学は、このような「非合理的」な意思決定や行動を体系的に研究する分野です。心理学や認知科学などの知見を従来の経済学理論に組み合わせて、人間の行動をより現実的に捉えようとしています。
行動経済学は幅広い分野で応用されていて、近年ますます注目度が高まっています。
従来の経済学との違い
古典的経済学
従来の経済学は、「人は合理的に行動し、常にコストと利益を比較して最適な選択をする」という前提に基づきます。ただ、これはあくまで仮定です。実際の人間行動を完全には説明できない場面が多くありました。
行動経済学
行動経済学は、「人間はしばしば非合理的な決定を下す」ことを示します。人の選択には、感情や思い込み、先入観などが入り込むためです。
実際の行動データや心理実験を通じて得られる現実の人間像をベースに、経済理論を再構築しようとします。
行動経済学が注目される理由
マーケティングへの応用
商品・サービスの価格設定やプロモーションの仕方、広告のデザインなどに行動経済学の知見を活用すると、消費者の心理を深く理解した上で最適なアプローチが可能になります。
公共政策のデザイン
個人の意思決定をちょっとだけ誘導する工夫(ナッジ)によって、社会的に望ましい行動を促進する政策を立案できます。
たとえば、健康保険や年金の自動加入を「デフォルト設定」にしておくことで、加入率が大幅に上がることが実証されています。
組織運営や人事管理
従業員のモチベーションを高める制度設計や、集団の意思決定バイアスを防ぐための仕組みづくりに、行動経済学の概念が役立ちます。

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